アレルギー/花粉症の症状と治療
はじめに
厚生省の調査では日本人の15%~20%がアレルギー性結膜炎を有することが分かっています。花粉症もアレルギーの一種で、原因は春のスギだけでなく、夏から秋にかけてのイネ花粉、秋のブタクサ、ヨモギなどがあり、ほぼ一年にわたり、症状に悩まされる方もおられます。かゆみがつらいアレルギーですが、原因を知り、環境を改善したり、適切な治療をすることによって症状を改善することができます。
通常のアレルギー点眼薬で治らない場合もあり、アレルギーの程度に合わせた治療が必要となります。
アレルギー性結膜炎とは
私たちの体には細菌やウイルスなどの外敵から身を守るために「免疫」というシステムが働いています。この免疫システムが何らかの原因で花粉やハウスダストなどの害のない物質にも過剰に働き、様々な症状を引き起こすのがアレルギーです。
アレルギー性結膜炎は眼の表面に花粉やハウスダストが付着し、眼の充血やかゆみなどを感じます。
アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)は?
アレルギーの原因はハウスダストやダニ、ペットの毛などの一年中みられるものとスギ・ヒノキ・イネ科の雑草・ブタクサなどの季節性があるものとに分かれます。
アレルギー症状が出る季節や、場所(室内か屋外か)によってある程度推測はできますが、原因をはっきりさせるには詳しい検査が必要となります。
アレルギーの検査方法
原因物質を調べるには、採血して血液中の抗体を調べる必要があります。血管からの採血もありますが、当院では指先から採血し、20分で結果が分かるアレルギー検査を行っております。
アレルギーの治療
抗ヒスタミン点眼薬
原因物質(抗原)が侵入すると、肥満細胞より、ヒスタミンなどの、炎症性性物質が放出されます。ヒスタミンは眼の神経や細い血管などを刺激し、かゆみや充血、粘膜の腫れ、などの症状を引き起こします。
抗ヒスタミン薬は目薬と飲み薬はヒスタミンの作用を抑え、症状を改善させます。数種類出ており、効果や、さし心地、防腐剤も異なりますので、患者さんに合った目薬を処方します。
スギ花粉など、飛散の開始が予想できるときは、飛散開始の約2週間前からの点眼で、発症を遅らせたり、ピーク時の抑えることができます。
ステロイド点眼薬
抗ヒスタミン点眼薬で症状が改善されない場合に用います。ステロイドは、元々体の中にあるホルモンで、炎症を抑える作用があります。症状に合わせて、濃度や強さを選びます。
抗ヒスタミン薬より即効性がありますが、眼圧が上昇するという副作用が出ることがありますので、点眼中はしっかり眼科に通院し、検査を受けることが必要です。
免疫抑制剤点眼薬
肥満細胞からのヒスタミンなどの炎症性物質の放出を抑えることで、症状を抑えます。免疫抑制剤は「春季カタル」と呼ばれる、眼の増殖性変化に対して効果があります。眼の増殖性変化とは、瞼の裏が石垣のようにでこぼこになったり、角膜と結膜の間が腫れたりする変化です。
以前は有効な目薬がなく、外科的に切除することもありましたが、免疫抑制剤の登場により、目薬で改善するようになりました。
抗ヒスタミン点眼薬やステロイド点眼薬でも効果がない方、ステロイドで眼圧が上昇する方に使用します。副作用は点眼時の刺激感や異物感があったり、感染にやや弱くなる場合があります。
抗ヒスタミン内服薬
眼のかゆみ以外に、アレルギー性鼻炎などを伴う場合に処方します。多数種類があり、症状の強さや副作用とのバランスを考えて選択します。
アレルギーに関してよくある質問
コンタクトレンズの上から目薬をさしてもよいですか?
アレルギーの症状があるときは、なるべくコンタクトレンズをしないことが原則です。
コンタクトレンズをしていると、花粉や目やにがレンズに付着し、症状を悪化させるためです。どうしてもコンタクトレンズを装用する場合、1dayタイプ、2weekタイプのコンタクトレンズで、抗ヒスタミンの一部の点眼薬でしたら、上から点眼して頂いております。(医師によって判断が分かれますので、受診されている眼科医にお聞き下さい)ステロイド点眼薬や免疫抑制剤は副作用が強く出る可能性があり、コンタクトレンズの上から点眼できません。
アレルギー性結膜炎は他の人にうつりますか?
うつりません。
アレルギー体質の方は多く、花粉やほこりなどの存在する環境が、周囲の人と重なりますので、同時期に発症することはよくあります。これが周りの人にうつったように見えるのでしょう。ただし、アレルギー性結膜炎だと思っていても、眼やにがたくさん出たり、充血が強いようですと、感染性結膜炎のこともあります。その場合は、アレルギー点眼薬では治らず、ステロイド点眼で悪化しますので、早めに眼科を受診して下さい。
プールに入ってもよいですか?
一般的には、症状が落ち着いている時期で、ゴーグルで眼を保護して頂ければ入れます。
ただし、症状が強いと角膜に傷が付いていたり、粘膜が荒れていたりして、感染を起こしやすくなりますので控えて下さい。自己判断はせず、受診されている眼科医にご確認をお願いします。